社外取締役等の登記

3月決算の企業様の定時総会も終わり、私共が

依頼をいただく商業登記も、終盤に差し掛かって

参りました。

大企業の株主総会は、会社法をはじめその周辺

法令や規則の改正に伴い、例年とは違った内容

になった所もあるみたいです。

 

 

その会社法の改正に関連しますが、「社外取締役等」

の登記も取扱いが変更になりました。

登記研究807号75項で神崎満治郎氏の論考にも紹介

されておりましたので、少し触れておきたいと思います。

 

改正会社法2条15号及び16号で社外取締役や社外

監査役(以下、「社外取締役等」とします)の定義が

変更になりました。

今日は、その要件のご紹介は割愛しますが、以前より

も、社外性に対する適用要件が厳格になったと言えます。

 

まず改正会社法附則4条で、「平成27年5月1日に現に

社外取締役等を置いている会社は、施行後最初に終了

する事業年度に関する定時株主総会の終結後に、改正

後の社外取締役等の要件を適用する」としています。

 

よって、社外取締役等を置いていた会社で3月決算の

会社は今年の定時株主総会終結の時点では、上記の

定めにより、未だ社外性の適用要件は従前のとおり

となりますので、今年の5月1日以降に定時総会で

選任される社外取締役等は改正前の社外性を適用

してもよい訳であります。

 

では、この社外取締役等を「社外」取締役や監査役

として、登記してもよいのでしょうか。

監査役会設置会社であれば、社外監査役として再任や

就任の登記を行うケースはよくありますが、社外取締役

の登記はほとんどの会社は改正前会社法427条の責任

限定契約にかかる社外取締役という理由で、「社外」取締役

で登記されている事例が多かった印象です。

 

改正後社外取締役等を登記する場合は以下に、変更に

なりました(改正会社法911条3項)。

①監査役会設置会社の社外監査役

②監査等委員会設置会社の社外取締役

③特別取締役による議決の定めがある場合の社外取締役

④指名委員会等設置会社の社外取締役

 

よって、改正会社法427条に従い社外取締役等として登記

されている役員の方も、改正後はその「社外取締役である旨」

や「社外監査役である旨」の登記を抹消する必要があります

が、改正会社法附則22条2項で当該役員の任期中の間は

その抹消登記をする必要がないとされています。

 

大企業及びその子会社は、定款の定めで任期を1年に短縮

している会社が多いため、今年の定時総会で社外取締役と

して再任されても、上記のような理由で登記する際は「社外

取締役である旨」を外して重任による登記申請を行いました。

 

会社法が改正されて少し経ちましたが、現在の所登記実務で

はそんなに多くの混乱が生じていないかなと感じています。

 

 

       司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

 

 

 

 

司法書士法人高山事務所

スタッフ一覧

髙山修二(所長)

高山事務所の代表です。

記事を見る

最近のブログ記事

by 梶原貴志 2021年03月03日

令和元年改正会社法施行

by 梶原貴志 2017年12月11日

登記懈怠について

by 梶原貴志 2017年03月18日

株式譲渡制限規定の定款変更の必要性

by 梶原貴志 2016年09月17日

オンライン申請の特例方式

by 梶原貴志 2016年08月09日

取締役の任期の短縮

by 梶原貴志 2016年02月08日

商業登記規則等の一部改正案について

by 梶原貴志 2015年12月10日

改正会社法施行後の株主総会

カテゴリ