2014年11月アーカイブ

商業登記規則の改正案について

日々日々寒くなってきました。

空気が乾燥していて、カラカラですね。

昨夜仕事帰りに自転車を乗っていると、家の近所

で火事が発生していました。

皆様も火の元には十分にお気をつけください。

 

 

法務省より11月14日商業登記規則の改正案

について発表があり、パブリックコメントの公募も開始

されていました。

 

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080117&Mode=0

 

 

主な改正点は、以下のとおり

①代表取締役ではない取締役に就任登記の際、住民票等の

 添付を義務付けする

②代表取締役の辞任届への押印は、個人の実印(印鑑証明書

 添付)もしくは法務局届印を義務付けする。

③役員本人から届け出により、旧姓の名前でも登記ができる

 ものとする

 

①については架空の取締役の就任を防止することが最大の目的

とのことですが、登記申請時の事務負担が増大するのは容易に

想像できます。上場企業等では、外国人の取締役も存在しますが

この場合本国官憲の証明書等を添付することになるのでしょうか。

 

②は、法務省のコメントによれば代表取締役を一方的に辞任させ

て、会社の乗っ取りを防止することが目的だとしています。現行の

商業登記規則61条4項の立法趣旨が、辞任の局面においても

厳格に適用させようという意図がみえます。個人の実印を押印

させるのは良いとしても、法務局への届出印が押印されている

場合でも可としている点については、会社の乗っ取りを画策して

いる連中であれば、何かしらの方法で法務局届出印(会社実印

)を押印するのではないかと少し感じます。

また、代表取締役の選定の場面でも同じことは言えますが…。

 

③は、特に女性の役員の方が企業活動を行う際の実情を配慮

したものでしょう。ただ、何故婚姻のみに限定しているのかが

分かりません。養子縁組により氏名が変更するケースも考えら

れます。

 

この商業登記規則の改正案が施行されると、我々司法書士

の実務運用も一変されそうです。今後の動きを注視して

いきたいと思います。

 

       司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

不動産登記における印鑑証明書

11月に入り寒くなってきました。

今日も朝はかなり冷え込んで、寒がりな私には

厳しいものでした。

今年は暖冬?と言われていますが、どちらにせよどんどん

寒くなるので、へこみます…。

 

不動産登記の手続においてよく「印鑑証明書」の添付が

求められる場面もあります。さらにこの印鑑証明書は、発行

から3ヶ月以内のものでなければならないといった点も

あったり無かったりします。

 

基本的な考え方は、『所有権の登記名義人が登記義務者と

して、書面申請(オンライン申請の特例方式含む)の方法により

登記申請をする場合に、申請書又は委任状に押印した印鑑に

ついて、その者の住所地の市区町村長又は登記官の作成した

印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)を添付しなければなら

ない』となります。

 

所有権の登記名義人が登記義務者となるのですから、売買に

おける売主であったり、金融機関からの借入にかかる抵当権

を設定する際の担保提供者であれば、3ヶ月以内の印鑑照明書

の添付が必要になります。

不動産登記法上における独立の添付書面としての印鑑証明書で

あれば、《発行日後3ヶ月以内規定》があることになります。

 

逆にそれ以外、例えば代表的なものとして相続における遺産分割

協議書に添付する相続人の印鑑照明書は、発行日後3ヶ月を経過

していても差し支えありません。

遺産分割協議書のように、その成立にかかる真性を担保するために

印鑑照明書を添付します。

他には承諾書に添付する印鑑照明書等は発行後3ヶ月を経過してい

ても問題はありません。

 

参考までに、独立の添付書面としての印鑑証明書が必要な場合に、

住所を日本に置いてない在外邦人が登記義務者として手続をする場合に、

 

{アメリカ合衆国在住の日本人が登記義務者として登記を申請する場合、
登記義務者本人が署名した委任状のほか、アメリカ合衆国の公証人の
面前において右の者が行った自己の署名に関する宣誓口述を証する
書面が添付されている場合には、登記官吏において、右の委任状及び
宣誓口述書における署名につき、その同一性を確認し得る限り、当該
登記の申請は受理してさしつかえない。(昭33.8.27、民事甲第1,738
号民事局長心得通達)}
 
 

とされていますが、この証明書は作成後3ヶ月以内のものでなくても差し

支えないとされています(平成2.4.18民三1494号)。

 

              司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志