数次相続発生下における遺産分割協議書について

2018年がスタートし、いつのまにやら1月も終わり、

今日から2月がスタートして…月日が経つのは早い

もです。

寒い日が続き、インフルエンザも全国的に猛威をふるって

おりますので、私も用心しないとなと感じております。

 

 

月間登記情報に下記のような先例が掲載されておりました。

登記情報674号より.pdf

 

第1次相続発生後、遺産分割協議未了に状態で相続人が

亡くなり第2次相続が発生しというサイクルを繰り返す、

いわゆる「数次相続」と呼ばれる状態が前提の事例です。

 

この状態で、被相続人Aの遺産分割で4世代目のGが相続

するという協議内容を登記原因証明情報として添付し、

「年月日B相続、年月日E相続、年月日相続」という原因日付

による所有権移転登記がなされたということです。

 

照会本文にも掲載されている昭和30年先例にあるとおり、

数次相続発生下における中間において単独相続の場合は、

所有権移転登記を1件でなすことは実務上許容されており、

この単独相続には遺産分割の結果生じたものも含まれます。

 

解説における【問題の所在】にもありますが、この遺産分割

協議書では中間者B及びEkが単独相続したという事実が

明確にされていないため、当該原因日付における登記申請

における登記原因証明情報として疑義が生じたということです。

 

本先例通達における本質的部分は、「①第一次相続における

承継者は亡B②第二次相続における承継者は亡E③第三次相続

における承継者はG」というそれぞれの合意について、当該協議書

により①及び②の各合意も包括的に証明されているとされている

点です。

 

要は権利がある相続人全員が最終的にGが相続することを

協議中で承認しているのだから、①及び②の合意も必然的に

推認されるという流れを示しています。

 

現状の不動産登記申請において、原則登記原因証明情報の

添付が要求されており、不動産登記申請における登記原因

と登記原因証明情報は密接な関係にあり、登記原因を構成

させる礎の存在であるのが登記原因証明情報です。

 

本事例における登記原因を公示する上で、この遺産分割協議

内容が忠実にその権利変動の過程を反映しているとは、個人

的には思えません。この先例においては、あくまでは最終的な

権利取得を重視し、中間の相続については相続人全員の合理的な

意思を推認するということで、登記上受理するという帰結になって

います。

 

本事案において遺産分割協議書を作成する場合に、当事者に

配慮するがあまり、シンプルな遺産分割協議内容にしてしまい

がちですが、やはり中間者であるB及びEが権利取得する内容

の遺産分割協議は別途必要ではないかなと疑問を感じました。

                           

ちなみ法務省のHPでこの通達に関する記載がありまして、通達の

本旨は相続登記の簡素化と利便性の向上にあるらしいです。

 

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00207.html

 

     司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

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