各種法人の利益相反取引の処理②

関東特に北関東では大雨による未曾有の

災害が発生し、今現在も多くの方が先の

見えない不安に押し潰されそうになりが

ら、避難所で過ごされています。

人類の歴史を見ても常に自然災害は発生

し、その教訓を活かしながら防災対策を

講じてきた訳ですが、やはり自然というの

は我々の想像をはるかに凌ぐモノだなあ

と深く感じます。

 

今日は前回からの続きで、会社以外の法人

類型に利益相反が生じた際の対応を簡単に

ご紹介します。

 

・社会福祉法人

 社会福祉法人に、理事3名以上監事1名以上の

設置が義務付けられており、理事はそれぞれ法人

を代表します。ただし、定款をもって、その代表権

を制限することができます(社会福祉法38条)。

 理事と社会福祉法人の利益が相反する時は、

理事は代表権有しないとされていますので、この

場合、所轄庁は利害関係人または職権で、特別

代理人を選任しなければなりません(社会福祉法

39条の4)。

 この選任された特別代理人が法人を代表する

ことで取引や登記申請を進めていくことになります。

 特別代理人の資格基準は行政窓口で若干異なり

ますので、事前にその要件等について確認しておく

ことが必要になります。

 

 すべての事例に場合に特別代理人の選任が必要で

はなく、下記のような例外もあるようです。

① 定款中に「理事長のみが、この法人を代表する」、

「理事長個人と利益相反する行為となる事項・・・につ
いては、理事会において選任する他の理事が理事長の
職務を代理する」旨の定めがある社会福祉法人と当該法
人の理事長との利益相反する事項について、理事会で
選任された理事が当該法人を代表して取引をする場合に
は、特別代理人の選任を要しない。
② ①の場合において、当該理事の代理権限を証する書面
は、理事会で選任された理事が当該法人を代表して理事長
と取引をするとともに所有権移転の登記を申請する場合には、
当該法人の定款、理事会の議事録(出席理事全員の印鑑証
明書付き)及び当該法人の理事についての所轄庁の証明書
である。
               (平成3年8月19日民三4436)
 
通常、社会福祉法人の多くは理事長のみが代表権を有する
旨の定めを置いていますので、利益相反事項に関する定め
を置いておけば法人内部の決議処理で手続を進められる
ということになります。
 
 
       司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司法書士法人高山事務所

スタッフ一覧

髙山修二(所長)

高山事務所の代表です。

記事を見る

最近のブログ記事

by 梶原貴志 2021年03月03日

令和元年改正会社法施行

by 梶原貴志 2017年12月11日

登記懈怠について

by 梶原貴志 2017年03月18日

株式譲渡制限規定の定款変更の必要性

by 梶原貴志 2016年09月17日

オンライン申請の特例方式

by 梶原貴志 2016年08月09日

取締役の任期の短縮

by 梶原貴志 2016年02月08日

商業登記規則等の一部改正案について

by 梶原貴志 2015年12月10日

改正会社法施行後の株主総会

カテゴリ