取締役の選任について

毎日湿度が高いですね。

ジメジメし過ぎて気が滅入ります…。

汗をかく分、一日を締めくくるビールは最高に美味しいのですが。

 

6月に入り定時総会を開催されている会社や、これから開催を予定

されている会社は多いことでしょう。

総会で取締役の選任議案を決議される予定の会社もたくさんあると

思います。

 

株主総会において取締役が選任される効果は、当該選任決議を受けて、

被選任者がこれを承諾したときに発生します。選任決議そのものは、会社

内部の意思決定または被選任者に対する任用契約の申込にすぎないと

するのが通説のようです。

となると、被選任者の就任承諾によって、会社と被選任者間で、取締役任用

契約が締結され、その結果、被選任者は取締役の地位に就くということに

なります。

 

 会社と取締役の関係は、会社法330条のとおり「委任」に関する規定に従う

とされています。ちなみに、明治の古い判例では、「株主総会における取締役

選任決議の効力は、委任関係を生ずるものではないので、被選任者の承諾を

待たないで発生する(明治36.3.14民録9.309)」と解釈していた時期も

あるのは、少し驚かされます。

 

 取締役の就任による変更登記の際、「就任を承諾したことを証する書面」を添付

しなければならないのは、周知のとおりです。

 独立した就任承諾書でもよいですし、株主総会議事録の記載から被選任者が就任

承諾したことが明確であるならば、議事録を援用できます。

 過去の質疑応答等では、議事録の記載があっても援用を否定した例もありますので

下記にご紹介しておきます。

 

 『株主総会に出席しいなかった被選任者から、電話で就任承諾の了解を得た旨の

記載のある株主総会議事録は、当該役員の就任を承諾したことを証する書面とはな

らない(登記研究492.120)』

 『取締役就任についてあらかじめ内諾を得ていることを株主総会に報告し、その旨の

ことが記載されている株主総会議事録をもって、取締役の就任承諾を証する書面として

登記申請するこはできない(商事法務1225.4)』

 

 どちらも今の実務感覚からすると当たり前のように感じますが、前述のとおり被選任者

が就任の意思表示を明確に行った旨が株主総会議事録に記載されていることが、最も

重要です。

 以前、株主総会の議事録の記載方法について触れましたが、被選任者がその総会に

出席していることを議事録に記載されていることも大切になります。

 

                       司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

 

 

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