所有権更正登記について

もう少しでGWが始まりますね。

当事務所は、カレンダーどおりで営業させていただいております。

今年は消費税増税後初めての連休ですが、各地の行楽地は

例年のごとく混み合うのでしょうか。

 

今日は、所有権更正登記について書きます。

そもそも、所有権更正登記とは、「既存の所有権の登記の一部が原始的に

実体と不一致であり、かつ是正前後に同一性がある場合になされる登記

」とされています。

 

つまり、この登記が可能な要件は

①原始的な不一致であること

②更正登記の前後を通じて、登記事項に同一性があること

になります。

 

基本的に②の要件が充たされるか否かがポイントになります。

(例1) 実体 売主A → 買主 B1/2 C1/2

    登記 1  A

        2  B   ⇒ 「B1/2 C1/2」と更正 OK!

 

(例2) 実体 売主A → 買主 C

    登記 1 A

        2  B   ⇒ 「C」と更正 NG!

 

例1は更正前後に「同一性」がありますが、例2は「同一性」はありません。

例2を実体に合わせるためには、まずB名義の登記を抹消し、改めてAから

Cへの所有権移転登記を申請する必要があります。

 

また、Aの単独名義で所有権移転登記がなされた不動産について、A及びB

の共有名義にする更正登記がされた後、さらにBの単独名義にする更正登記

の申請は受理すべきではない(登記研究236号)とされています。

これも、結果として更正前の登記名義人が更正後の登記名義人でなくなって

しまっているから、「同一性」が認められません。

 

更正登記の態様は以下のものがあります。

Ⅰ 単独名義を共有名義に更正 (A⇒A、B)

Ⅱ 共有名義を単独名義に更正 (A、B⇒A)

Ⅲ 共有名義人の脱退・追加更正 (A、B、C⇒A、B / A、B⇒A、B、C)

Ⅳ 持分のみの更正 (A1/2、B1/2⇒A2/3、B1/3) 

Ⅴ 登記の目的の更正(「所有権移転」⇒「所有権一部移転)

Ⅵ 登記の原因の更正(「売買⇒「贈与」)

 

今日は具体的な登記申請方法には触れませんが、登記更正の内容によっては

前所有者に協力を求めなければならないこともあります。

やはり、こう言った更正登記をする場面を減らすためにも、登記申請前の「確認」

は、私達司法書士にとって非常に大切な仕事の一つだなと、日々実感をして

おります。

 

                  司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

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