2014年4月アーカイブ

未成年者の相続放棄

今日から数日間は雨が続くようですね。

昨日は、研修会に参加し同期の司法書士と、何年ぶりか分からない

くらいの、再開を果たしました。

その方は新人研修の時から15キロ太ったということで、最初誰だか分からない

くらいでしたが。

 

今日は、未成年者の相続放棄についてです。

 

以前、当ブログで未成年者のことに触れましたが、ご存知のとおり、未成年者は

通常はその父母に親権に属しており、父母は法定の代理人とされています。

 

(事例)     父A  母B  子C(未成年者)

    父が急死し、相続が発生した。母Bは子Cの相続放棄手続を単独で

   行うことは可能でしょうか。

 

(結論)    母Bは単独で相続放棄手続は行えず、特別代理人の選任申立を

        行う必要がある。

 

 民法826条は、「親権者である父母とその子との利益が相反する行為については、

親権者は、その子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければな

らない」とされています。このような利害関係の中では、親権者の公正な権利を行使

をすることは困難と判断されますので、第三者たら特別代理人によって、子の利益

を確保しようという立法趣旨です。

 

 「相手方のない単独行為」である相続放棄は、上記利益相反関係に当てはまるのでしょうか。

 

 古い大審院の判例では、「相続の承認又は放棄のような相手方のない単独行為は利益

相反行為に該当しないので、数人の子に対して親権を行う父母がその一部の子のために

相続の放棄をするについては、特別代理人の選任は要しない」(大審院明治44.7.10判決)

と解されていました。

 しかし、最高裁は「民放826条は、適用の対象となる行為を相手方のある行為に限定する

趣旨であるとは解されないから、相続の放棄が相手のない単独行為であるということから

直ちに民法826条にいつ利益相反行為にあたる余地がないと解するのは相当ではない」

(最高裁昭和53.2.24第二小判決)と、判例に変更を行いました。

 ただ同判例では、「①親権者がすでに相続の放棄をしている時、②子と同時に放棄する時は

利益相反行為にが該当しない」としています。この状況では実質的に親権者は放棄により、

自らの利益を喪失しているためだと考えられます。

 

 登記実務は上記大審院判例に沿って、昭和25年4月27日民事甲第1021号通達で特別

代理人の選任を要しないとし、昭和35年10月27日民事甲第2659通達もこれを踏襲して

います。

 ただ、昭和53年の最高裁判決の立法的な本質を考慮すると、やはり未成年者の相続放棄

の申立については利益相反行為に該当すると考えるのが妥当ですし、子の利益保護の観点

に立っても相当性は十分にあると言えます。

 

 どちらにしても、登記申請段階では「相続放棄申述受理証明書」を添付しますが、申立人の

適法性等は当該書面では判明しませんので問題になることはなく、むしろ家庭裁判所の

申立時に審査されるべき事項になります。

 

                       司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

取締役会非設置会社における代表取締役

世間は今日からGWスタートのようです。

日本の総人口の何割くらいが、大型(?)連休を取得できている

のしょうか。

少なくとも、「今日から5月6日まで休みです」なんて方は私の

まわりには存在しません…。

 

今日は、取締役会非設置会社における代表取締役についてのお話です。

(株式会社の代表)

第349条 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

 前項本文の取締役が2人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。

 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。

 

と、会社法では規定されています。

日本の中小企業のほとんどは、非公開会社か特例有限会社であり、非公開会社は

取締役会の設置は任意になりましたので、取締役会自体置いてない会社もたくさん

あります(特例有限会社はそもそも取締役会を置けません)。

 

(実例)

 取締役会非設置会社の甲株式会社の役員構成は、以下のとおりです。

   取締役 A B

   代表取締役 A

 この前提で、代表取締役Aが死亡してしまいました。取締役Bは当然に

 代表取締役になると解釈してよいのでしょうか?

 

(結論) 必ずしもそうとはいえず、甲株式会社の定款の定め次第になる。

 

 取締役が1名になった場合、自動的にその取締役が代表取締役になる旨の

定めがあれば別ですが、一般的に「代表取締役として定められた取締役が

死亡した場合であっても、一旦代表取締役を定めた以上、死亡後も引き続き

会社法349条1項但書が適用され、残された取締役が当然に代表権を有する

こととなるわけではない(相澤哲他編著『論点解説/新・会社法』309項)とされています。

 

 定款に別段の定めもないのであれば、取締役1名は許容されますが、代表取締役は株主

総会で定めることを念頭に置いているのでしょうから、Bは株主総会にて代表取締役に選定

されない限り、代表取締役にはなりません。

また、定款上に「取締役2名以上を置き、」とあれば、取締役の欠員状態ですので、早急に

取締役を選任し、複数にした上で、代表取締役を定める必要があります。

 

 定款上「取締役2名以上いる場合は、取締役の互選により代表取締役を定める」とある

会社は、取締役が1名になる場合は、その取締役が代表取締役の地位にあることを許容してい

ることになります。

 この場合は、代表取締役Bの選任行為や就任承諾自体がないため、代表取締役の選定

についての議事録の印鑑証明書、代表取締役としての就任承諾書及び当該書面に係る

印鑑証明書は、添付書面とはならないが、定款の定めに基づき代表権が付与されるため、

事例中のBの代表権付与の登記の際は、定款の添付が必要になります。何故なら、前述の

とおり、Bの代表権は法律上自動的に回復する訳ではないからです(松井信憲『商業登記

ハンドブック第2版』)。

 

 定款の定めによって、どのような登記を行う必要があるか判断することになりますので、や

はり、依頼の最初の段階での定款内容の確認は必須になりますね。

 

                         司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

 

 

所有権更正登記について

もう少しでGWが始まりますね。

当事務所は、カレンダーどおりで営業させていただいております。

今年は消費税増税後初めての連休ですが、各地の行楽地は

例年のごとく混み合うのでしょうか。

 

今日は、所有権更正登記について書きます。

そもそも、所有権更正登記とは、「既存の所有権の登記の一部が原始的に

実体と不一致であり、かつ是正前後に同一性がある場合になされる登記

」とされています。

 

つまり、この登記が可能な要件は

①原始的な不一致であること

②更正登記の前後を通じて、登記事項に同一性があること

になります。

 

基本的に②の要件が充たされるか否かがポイントになります。

(例1) 実体 売主A → 買主 B1/2 C1/2

    登記 1  A

        2  B   ⇒ 「B1/2 C1/2」と更正 OK!

 

(例2) 実体 売主A → 買主 C

    登記 1 A

        2  B   ⇒ 「C」と更正 NG!

 

例1は更正前後に「同一性」がありますが、例2は「同一性」はありません。

例2を実体に合わせるためには、まずB名義の登記を抹消し、改めてAから

Cへの所有権移転登記を申請する必要があります。

 

また、Aの単独名義で所有権移転登記がなされた不動産について、A及びB

の共有名義にする更正登記がされた後、さらにBの単独名義にする更正登記

の申請は受理すべきではない(登記研究236号)とされています。

これも、結果として更正前の登記名義人が更正後の登記名義人でなくなって

しまっているから、「同一性」が認められません。

 

更正登記の態様は以下のものがあります。

Ⅰ 単独名義を共有名義に更正 (A⇒A、B)

Ⅱ 共有名義を単独名義に更正 (A、B⇒A)

Ⅲ 共有名義人の脱退・追加更正 (A、B、C⇒A、B / A、B⇒A、B、C)

Ⅳ 持分のみの更正 (A1/2、B1/2⇒A2/3、B1/3) 

Ⅴ 登記の目的の更正(「所有権移転」⇒「所有権一部移転)

Ⅵ 登記の原因の更正(「売買⇒「贈与」)

 

今日は具体的な登記申請方法には触れませんが、登記更正の内容によっては

前所有者に協力を求めなければならないこともあります。

やはり、こう言った更正登記をする場面を減らすためにも、登記申請前の「確認」

は、私達司法書士にとって非常に大切な仕事の一つだなと、日々実感をして

おります。

 

                  司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

買戻特約の登記について

昨日はオバマ大統領が国賓として来日して、首相と高級寿司を

食べてましたが、私も人生であんな店に一度でも訪れる機会があるのか

と、妄想しておりました。

 

今日は買戻特約の登記についてです。

 

ある程度前に建築されて区分建物(マンション)で、京都府住宅供給公社とか

京都市住宅供給公社が主体となって販売され、購入された物件によく公社の

「買戻特約」の登記がされています。

 

買戻特約は、不動産の売主は売買契約と同時になした契約により、買主が支払った

売買代金と契約費用を返還して、売買契約を解除して不動産の権利を取り戻すことが

できる権利です(民法579)。

公社は販売時に担保的な意味で、買戻特約の登記をしていると思われます。

なぜなら、買戻特約の登記後に、第三者の権利の登記(例;抵当権など)がされても

公社は、その権利を否定できるからです。

 

買戻特約の登記をする際、10年以内の期間で「買戻期間」が記載されます。

ほとんどの場合、買戻権は行使されることなく期間が経過しています。

 

買戻期間が満了した場合、もはやその公示をする必要性が無くなる訳ですが、法務局

が職権で抹消登記する規定もないため、当時者の申請により抹消登記をしなければな

りません。

 

売却等する場合に、買戻特約の抹消がされていないことで、準備に時間がかかったり

することもありますので、余裕がある時に抹消登記しておくのがよいでしょう。

 

公社は大概過去の購入者のリストを管理しているので、抹消書類の準備に時間を

要するなんてことは、経験上あまりないのですが…。

 

                      司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

登記識別情報の失効申出

年度末から法務局の処理が遅くなり、登記完了までいつもの倍

の時間がかかっていましたが、ようやく法務局の処理も平常に

戻りつつあります。

年度が変わる時期は登記件数も一時的に増えますし、法務局の

方の異動も重なり致し方ないのは分かってはいるものの、毎年

何とかならぬものかと、感じております。

 

前回登記識別情報について書きましたので、今日はその失効申出

制度についてです。

 

登記識別情報は不動産の権利を証する非常に重要な情報でありますので

、盗難にあったり、情報自体が漏洩しないように管理する必要があります。

そんな管理が煩わしいとか、第三者に悪用されるのが不安という方に登記

識別情報の失効申出制度があります(不動産登記規則65条)。

 

この申出は、登記識別情報の通知を受けた者、その相続人又はその他の

一般承継人から、登記の目的及び登記原因に応じ、一の不動産ごとに

作成した有効証明情報を法務局に提供して行います。

 

申出する際に必要な書面は①申出人が法人である場合には、当該法人の

代表者の資格を証する書面、②代理人によって申出を行う場合には、委任状

③印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)、④相続その他一般承継を証する

公的書面(戸籍謄本等)が必要になります。

 

失効申出が受理されると、その登記識別情報は効力を失いますので、例えば

売買による所有権移転登記をしなければならない場面であれば、本人確認

手続等が必要になります。

 

このような登記識別情報自体が失効できる制度がありますので、特に売買による

お取引の立会前には、その登記識別情報が失効していないか否か確認すること

が私達の日常業務では当たり前になっています。

 

                  司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

本店移転について

今日は少し肌寒むくて、春が来たのかどうか分からなくなりますね。

この時期は、会う方の大半が花粉症を患われている方が多くて

驚いています。

私は花粉とは今のところ縁の無い人生を送っておりますので、

花粉症の方に何だか申し訳なく感じております。

 

今日は会社の本店移転についてのお話です。

会社の本店はその事業を行う上で、頭脳が集積する重要な拠点

であります。よって、その所在地は必要的登記事項です。

 

会社の本店を変更する手続きは2つに分類されます。

 

①移転先が定款変更を伴うもの

→株主総会の特別決議

②移転先が定款変更を伴わないもの

→取締役の決定(又は取締役会の決議)

 

①は、定款上に「当会社の本店は、京都市に置く」と定められている

会社が、「大阪市」に移転するような場合です。

②は、上記の会社が現在「京都市中京区」に本店を置いている場合に、

「京都市北区」に移転するような場合です。

 

登記申請時は①の場合は株主総会議事録及び取締役会議事録等、

②の場合は取締役会議事録等が添付書面に該当しますが、

例外的に取締役会議事録に係る移転年月日が概括的な記載である

場合は、議事録とは別に、現実の移転年月日を証する書面を添付

する必要があるとされています(登記研究99号41項)。

 

司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

 

 

株主総会議事録について

新年度がスタートする企業の方々にとっては、決算を迎えられた所も多いのでは

ないでしょうか。

となると、決算の承認にかかる定時株主総会を開催を予定されている会社も

多いということになります。

 

今日は、株主総会議事録について触れます。

 

株主会社において株主総会を開催した場合、株主総会議事録の作成が法律

上定められているのはご存知のとおりです(会社法318条)。

この議事録の内容は、会社の好みで作成して良い訳ではなく、記載する内容は

法定されています(会社法施行規則72条3項)。

 

①開催の日時・場所

 実際に開催をされた場所を記載します。テレビ会議・電話会議システムの使用等に

より開催することも認められますが、この場合は、開催場所に存しない役員等の出席

方法として、情報伝達の双方向性と即時性が確保されている状況を基礎づける事実

も議事録に記載・記録しなければなりません。

 

②議事の経過の要領及びその結果

 議事の経過については、速記録のような詳細なものである必要はなく、「要領」の記載

・記録で足ります。

 実務上様々議事録を拝見する機会が多いですが、会社によっては非常に詳細な議決に

至るまでのやりとりを記載されてたりします。

 

③会計参与・監査役・会計監査人の法定の意見・発言の概要

 監査役等による株主総会提出議案・書類等の調査結果の報告等があるときは、その内容

の概要も記載しなければなりません。このような、記載をするケースは極々稀でしょう。

 

④出席した役員・執行役又は会計監査人の氏名・名称

 この記載がされていない議事録が結構あります。その株主総会で任期満了する役員がいる

場合に、再任される場面や新任候補者が総会に出席している場面において、登記申請に必要

になる「就任を承諾をしたことを証する書面」として当該議事録を援用するときに、記載中に「被

選任者は即時就任承諾した」という記載があっても、この記載が無ければ、援用できないケー

スがありますので、必ず記載するよう注意してください。

 

⑤議長の氏名

 議長について定款に定めがある会社がほとんどでしょうから、その定めに従った議長を記

載します。

 

⑥議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

 この取締役は通常代表取締役とされるケースが多いとは思いますが、代表取締役以外

の取締役でも議事録の作成をすることはできると会社法の立案担当者は言っているそうです。

 ちなみに、議事録作成取締役は、条文上、必ずしも「株主総会に出席した取締役」とはされ

ておりませんので、株主総会終結の時をもって選任された新任取締役が作成できる見解と、

株主総会に出席していない取締役が議事録を作成することは適切ではないとする見解があ

ります。

 私は、株主総会議事録そのものは総会終結後において、その会議体の実在性を証明

する重要な証拠と考えておりますので、後者を支持しております。

 

 最後にご存知のとおり定款に別段の定めがある場合は除き、株主総会議事録には条文上、

署名又は記名押印義務はありませんが、やはり前述したとおり株主総会議事録の本質的意義

を考えるならば、署名又は記名押印がある議事録を作成すべきでしょう。

 

                           司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

 

登記識別情報通知について

京都はサクラも散り始め、新緑の季節を迎えつつあります。

日中は暖かさを感じますが、朝はまだまだ冷えますね。

私も体調管理に気をつけねばと、日々感じております。

 

今日は、登記識別情報通知についてです。

不動産登記法が改正されて早10年程経過し、全国の法務局もオンライン化が進み

皆様の中にも不動産登記完了時に登記識別情報通知を交付されている方も

たくさんいらっしゃることでしょう。

 

手続を依頼された司法書士から登記識別情報通知についての説明がされている

と思いますが、基本的にはご存知のとおりお手元のシールの下にある12桁の

暗号が大切な情報となります。

 

「大切な情報」ですので、登記官は、その取り扱う登記識別情報の漏洩、滅失又は毀損

の防止その他の登記識別情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければ

ならない(不動産登記法151条Ⅰ)など、様々な安全管理のための義務が法定化しています。

 

ご依頼者にもよくお伝えするのですが、この登記識別情報は一度「交付」を受けると紛失

(正確には情報ですので、「失念」といいます)しても、法務局は再作成はしません

(平17.2.25民二457号通達第2.3)。

 

但し、同通達には二つの例外を設けております。

①登記識別情報システムにおける登記識別情報の発行処理において、「作成」と指示す

べきところ、誤って「不作成」と指示して処理が完了した場合

②登記識別情報通知を作成した後、当該登記識別情報通知すべき者に交付する前に、

通知書が貼り付けられたシールが剥がれた場合

 

以上の場合は、再作成するそうですが、例外中の例外ですね。

 

登記識別情報通知は権利者が自らが「失効」させることが可能なため、円滑な不動産

取引を行ううえで、その「有効性」を確認することは、現在の司法書士にとってはあたり

まえになっています。

 

この登記識別情報に貼付されているシールが非常に剥がれにくいものもあり、

たまにヤキモキすることがあります。

10年20年経過した時、果たしてこのシールが綺麗に剥がれるのか、とて

も心配です。

 

司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

登記懈怠について

うちの事務所は京都御所の南側にありますが、今は御所の周辺は観光客や

外国人でごった返しております。

今年は、特に観光客の方が多い気がします。

 

今日は登記懈怠について、少しだけ。

 

よくご依頼者の方から、「いつまでに登記しなければならないんですか?」

と質問をいただきます。

 

不動産登記については、表示登記は別にして、基本的に期間の制限は

ありません。権利取得した者が、自己の権利保全のために登記をしなさい

ということです。登記をしないと第三者に対して対抗できない訳ですから、

登記をするにこしたことはないです。

 

商業法人登記は期間制限があります。

会社法915条に、登記事項に変更が生じた日から2週間以内にしなければ

ならないと定められています。

登記申請を怠ると、会社法976条により100万円以下の過料に処せられます。

 

実際の所、2、3日や数週間程度であれば過料に処せられた話を聞いたことが

無いのですが、これが1年とか2年とかになりますと、代表者の住所地へ管轄

裁判所から通知が届きます。

 

以前法務局の方が言ってましたが、基本的に2週間を経過している事案はすべて

裁判所へ通知しているとのことです(真実は不明です)。

 

過料の額がいくらかは、基本的に裁判所の裁量に委ねられているため、どのくらいの

額かはハッキリとは判明しません。

 

よって会社法人登記は、速やかに行いましょう。

ご相談は司法書士法人高山事務所まで、お気軽にどうぞ!!

 

司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

 

登録免許税について

この4月から消費税が8%になり、私達の身の回りに関するあらゆるモノに影響が

ありました。

私どもが、依頼者から頂く登記費用の報酬についても、8%の税率を乗じたもので

いただくことになります。

 

今日は登録免許税についてのお話です。

 

よく依頼者の方から、「登記費用ってどれくらいになりますか?」というご質問を

いただきます。その際、一番考慮しなければならないのが、登録免許税です。

登録免許税は、『登録免許税法』という法律で定められており、

同法2条では、

[登録免許税は、別表第一に掲げる登記、登録、特許~略~について課する]

とされております。

 

詳細な税率のお話は次回以降に置いておきまして、登記にかかる登録免許税は、

①定額課税と②定率課税に分類されます。

 

①は、登記される不動産の個数1個につき1000円とか、商業登記の申請件数1件

につき3万円と金額で定められているものです。

例えば、不動産登記の場面では抵当権の抹消登記や氏名住所変更登記などがあり、

商業登記の場面では、商業や目的の変更登記は役員変更登記などがあります。

 

②は、不動産の価格、債権金額、資本金の額等について1000分の○○を乗じる額と

一定の比率で定められているものです。

例えば、不動産登記の場面では、所有権移転登記や抵当権設定登記などがあり、

商業登記の場面では、設立登記や増資の登記などがあります。

 

よって、①の登記のご依頼に関する登記費用の算出は必要最低限の聞取りでご

案内できるのですが、②は特に不動産登記ですが、その不動産の評価額が判明

しないと、中々ご案内しづらいこともあります。

 

ちなみに不動産の評価額は何を基準にするのかという点ですが、登録免許税法10条

1項では、[~不動産の価格は、その登記の時における不動産の価格による]とされて

おりますが、当分の間は、固定資産税課税台帳に登録されている価格を基礎として

算出することとされています。

 

新年度になり、各役所から固定資産税の納税通知が届きはじめている時期では

ないでしょうか。

その書面の中に皆様が所有されている不動産の当該年度の評価額が記載されてい

ますので、一度ご覧いただけるとよいでしょう。

 

                               司法書士法人髙山事務所 

                                    司法書士梶原貴志

養子縁組について

新年度もスタートし、サクラ舞う季節になりました。ようやく、暖かくなって気分的にも上向きです。

司法書士法人髙山事務所も新年度がはじまり、スタッフ一同気分も新たに皆様をお待ちしております。

 

さて、昨日の京都新聞の記事に「特別養子縁組」の記事が掲載されていたので、今日は養子縁組

について触れたいと思います。

 

今日おける養子制度は①普通養子縁組②特別養子縁組の2種類があります。

 

過去から現在にいたるまで圧倒的に多いのは①の養子縁組で、婿養子であったり、相続対策の

ためであったりで、縁組をされているご家族も多いのではないでしょうか。

①の養子縁組は、基本的に「縁組意思の合致」と「縁組障害の不存在」が実質的要件になり、

形式的要件は、戸籍法に規定される「届出」で成立します。

よって、双方の承諾のもと成立するので、現在も普通養子縁組は頻繁に行われています。

 

では、前述した「特別養子縁組」はどんな制度なのでしょうか。

昭和62年の民放改正で後発的に創設された制度で、基本的には6歳未満の子の福祉を念頭

に置かれた縁組制度です。

 

まず、普通養子縁組と大きく異なる点は、家庭裁判所の許可で成立します。

その前提となる縁組の基準は

・父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情が

 あること

・子の利益のために特に必要があると認められること

が、規定されています。

 

基本的には両親が経済的事情で子を育てられないこと、子への虐待といった事情等で家庭

裁判所が審判することになります。

また家庭裁判所は、養親候補者(必ず夫婦でなければならず、片方が25歳以上が必須)と

子は6ヶ月以上の監護期間を考慮しなければなりません。

つまり、申立以前から養親候補者と子に間に同居生活実態があるのであれば、その期間や

その生活状況を報告することになります。

もう一つポイントとしては、実の父母の同意が必要になる点です。

例外的に、Ⅰ父母が表意不能の場合 Ⅱ父母による虐待、悪意の遺棄、その他養子とな

る者の利益を著しく害する場合 は除かれます。

昨日の新聞記事は、上記例外規定以外の状況で、実の父母の同意無しに縁組が認めら

れたということで、掲載されていました。

 

以前、あるNPO法人が児童養護施設に預けられた子と里親希望に夫婦との特別養子縁組

の橋渡しをする事業がテレビで紹介されていました。

熊本慈恵医大の赤ちゃんポストや、子への虐待問題が今の日本社会の根底にあるのは事実

ですが、最終的に一番大切なのは子供の福祉であり、子供が明るい夢や未来を描ける社会

になるため、特別養子縁組等様々な立法的支援が今後も必要であると強く感じます。

 

司法書士法人髙山事務所 司法書士梶原貴志